天才パイロットは交際0日の新妻に狡猾な溺愛を刻む

 しかし、自分でも驚くほど莉真への愛情は募るばかりだった。

 軽い気持ちで父の書籍をめくっていたらのめり込んでしまった時のように、莉真を知れば知るほど溺れていく。俺を好きにさせたくてたまらなくなり、嫉妬して束縛したくなる自分が露呈する。

 そのうちキスマークをつけてみたり、指輪を与えたりと、以前の俺なら絶対にしない行動を取るようになっている自分に戸惑った。彼女を俺の所有物かのごとく扱っている気がして。

 これでは父親と同じではないか。束縛がもっとひどくなったら、母親のようにいつか彼女も去っていってしまうかもしれない。

 それを恐れて「誰となにをするかは君の自由だ」などと、本心とは違うことを口にしてみたりした。本当は嫌でたまらなかったくせに。

 結局、拓朗と一緒にいさせるのが心配で迎えに行ってしまったが、結果としてお互いの気持ちを擦り合わせられたのでよかったと思っている。独占欲をさらけ出す俺に対しても、莉真はまったく嫌がらず受け入れてくれた。

「ずっと、ずっと一緒にいます」

 そう言ってくれた時、どれだけ嬉しかったか。

 姉さんが『結婚っていいものよ』と言う気持ちがよくわかった。本気で愛する人と共に生きていくのは、面倒で難しいが、とても幸せなことなのだと。