目覚めると、隣にはあどけなさの残る愛しい妻の寝顔がある。

 つい一カ月ほど前から、この情景が日常的になった。いつもと違うのは、彼女のしなやかな身体になにも身につけられていないことだ。

 白い陶器のような肌が、昨夜は俺の腕の中でほのかに紅潮して、触れるたび悦ぶように震えていた。淫らで綺麗なその姿を思い出すだけで、朝からよこしまな想いが膨らみそうになる。

 眠っている彼女にいたずらしてみたい気持ちはヤマヤマだが、今日から二日間のフライトだ。いくら想いが通じ合ったとはいえ、戯れてはいられない。

 時計の針は朝六時を回ったところ。莉真は休みだし、昨日はだいぶ飲んでいたようだからこのまま寝かせておこう。身体も怠いかもしれないしな、俺のせいで。

 そっとベッドを抜け出し、シャワーを浴びて支度をする。朝食はきちんととるようにしているが、今日はゆっくりしてしまったのであるもので適当に済ませた。

 家を出る間際にもう一度寝室を覗くと、莉真はまだぐっすり眠っている。名残惜しさを感じつつ、顔にかかった髪をそっと除けて囁く。