天才パイロットは交際0日の新妻に狡猾な溺愛を刻む

 バルを出て、近くのパーキングに停めてあった暁月さんの車に乗り込む。マンションまでは十五分ほどだが、彼の不機嫌さがひしひしと伝わってくるので沈黙の時間が少々つらい。

 夜の街を走り出してしばらくしてから、言葉を選びつつ、とりあえず一番の謎について聞いてみる。

「あの、暁月さん……どうしてあのお店に私がいるってわかったんですか?」
「君にいくら電話しても出ないから、拓朗に聞いた」
「えっ!?」

 やや棘のある声色で言われ、私は慌ててバッグの中を探ってスマホを取り出す。ディスプレイを明るくすると、確かに暁月さんからの着信履歴が残っていた。

 飲んでいる最中、城戸さんは時々スマホを弄っていたと思うけれど、あの時にメッセージのやり取りをしていたのか。

 着信に気づかなくて申し訳なく思い、「ごめんなさい。スマホ、バッグに入れっぱなしで……」と肩をすくめた。暁月さんは前を向いたまま、表情も変えない。

「驚いた。さすがにふたりでいるとは思わなかったから」
「……皆、先に帰っちゃったので」

 抑揚のない口調がなんだか怖くて、そこからまた沈黙してしまう。彼が不機嫌な理由は、私が電話に出なかったから? それとも、城戸さんとふたりで飲んでいたからだろうか。