天才パイロットは交際0日の新妻に狡猾な溺愛を刻む

 私もいつまでも寝たフリを続けるわけにはいかないなと思った瞬間、城戸さんがひとつ息を吐く。

「起きてるでしょ、莉真ちゃん」
「ぅえっ!?」

 次いで飛び出した発言に驚き、思わず飛び起きた。彼はクスクスと笑って私の乱れた髪を直し、顎をくいっと持ち上げて顔を近づける。

「残念。本当に寝てたらキスしようと思ってたのに」

 扇情的に微笑む彼を「なに言ってんですか!」と一蹴し、身体を引いて逃れた。

 私が聞き耳を立てていたの、絶対バレバレだったでしょ……。恥ずかしくなって縮こまる。

 いつから気づかれていたんだろう。もしや最初から? だとすれば、彼は私が聞いている前提で一連の話をしていたことになる。

「まさか、私が起きてるのわかっててあんな話を……?」
「どんな話?」

 頬杖をついてこちらに言わせようとしてくる彼に、ふくれっ面をする私。彼はおかしそうに笑った後、少し真面目な雰囲気に変わって話し出す。

「莉真ちゃんが大学を卒業してこっちに来た時、俺はちょうど結婚した頃だったから、タイミング悪いなって内心後悔してた。もう少し早くに君が成人になって再会していれば、今頃別の未来があったのかもしれない」