天才パイロットは交際0日の新妻に狡猾な溺愛を刻む

 嘲笑する彼からも、やりきれなさが伝わってくる。

「元嫁とは一緒に生活しているうちに愛し合えるかも、っていう期待もあったよ。でも、お互い努力しても結局うまくいかなかった。あいつが他の男に走ったのも仕方なかったと思ってる」

 彼が抱えていた事情がだんだん見えてきて、私まで胸が締めつけられる。

 理由は違えど、ふたりも私たちと同じようにちゃんとした夫婦になろうと努力していたんだ。それが失敗してしまった経験があるから、私たちの結婚に対しても否定的なのかもしれない。

「だから望も心配なんだよ。国交省官僚の親父さん絡みの相手で、ほぼ政略結婚だろ」

 話の矛先が望さんに向けられると、彼女は数秒の間を置いてため息交じりに口を開く。

「私は、自分がいけないの。昔から消極的で、自分の気持ちを押し通せずにここまで来ちゃったから。親にも本当は結婚したくないって言えないままだし……あっくんにも、想いを伝えずに諦めた」

 望さんってそんなに消極的な性格だったのかと、少々驚く。おっとりした雰囲気ではあるけれど、恋愛はお手の物なのかと勝手にイメージしていたから意外だ。