天才パイロットは交際0日の新妻に狡猾な溺愛を刻む

「今日俺がいるって知ってても、君を野放しにしておくような男だよ、あいつは。いくら性格が優しくなったって、奥さんだけを大切にしないで不安にさせてるんじゃ、やってることは昔と変わらない」

 厳しい口調には棘があって、私の心をチクチクと刺すようだった。しかし、痛みとわずらわしさを感じながらも拒否反応を起こし始める。

 暁月さんは確かに独占欲を見せたりはしないし、そもそも私を愛していない。でも、決して大切にされていないわけじゃない。

 結婚を決めた時に約束した通り、できる限りふたりの時間をとって歩み寄ろうとしてくれている。一緒に生活していて、彼が本当の夫婦になろうと努力しているのが感じられるのだ。

 なにもかも昔と同じではないはず。私だって暁月さんのことをなにも知らないわけじゃないんだから。

 対抗する気持ちが沸々と湧いてきて、顔を上げてワイングラスのボウルの部分をがしっと掴んだ。カヴァというスパークリングワインをぐいっと喉に流す私を、ふたりが目を丸くして見ている。

 コンッとグラスを置き、頭がふわふわするのを感じつつ口を開く。