天才パイロットは交際0日の新妻に狡猾な溺愛を刻む

 それには思い当たる節がいくつもあるので、きっと本当なのだろう。

 指輪が好きじゃなかったという話や、私が誰となにをするかは自由だと言ったこと、そもそも彼が結婚に夢を抱いていなかったのも、すべては相手を縛りたくないからだ。

 昔のそのスタンスは、今も同じなんだろうか。私に対しても本気にはならない……?

「実際、結婚なんて絶対しないって言い切ってたしね。あいつが一緒になれる相手がいるとすれば、望くらいだと思ってたよ」

 城戸さんの口から遠慮なく放たれた言葉で、肺から徐々に酸素が抜かれるみたいに苦しくなっていく。

 彼は、私が本当に暁月さんを愛しているのかどうかを確かめようとしているんだろうか。それとも、暁月さんと望さんがそういう仲なのだと私にわからせようとしている?

 どちらにせよ、ずっと胸の奥でくすぶっていたモヤモヤに、ついに火がついたかのごとく熱くなってきた。望さんは慌てた様子で前のめりになり、城戸さんを制しようとする。

「ちょっ……拓ちゃん! 私は本当にただの幼馴染で──」
「好きだったんですか?」

 俯き気味になっていた私の口から、尋問さながらの声がこぼれた。もう自分の中で留めておくことはできない。