天才パイロットは交際0日の新妻に狡猾な溺愛を刻む

「頭脳派だったってことですか。それで裏番長と……」
「そう。別に操ってるわけじゃなかったんだけど、表では笑顔で人当たりのいい優等生だったから、そんな風に言われてたわけ」

 なるほど。確かに腹黒さの名残りはあるし、想像できなくはない。

 城戸さんだけじゃなく、暁月さん本人も自分のことを『扱いづらい男』だと言っていたのも、こういう過去があったからなのか。

 私は武闘派より頭脳派のヒーローが好きだからカッコいいと思ってしまうけど……って、これは漫画やドラマの話じゃなかった。

 酔っているせいで頭に浮かぶ、インテリヤクザと化した暁月さんの姿を掻き消し、真面目な思考に戻す。

「暁月さんが不良の先輩を懲らしめたのは、お義父様と似ていたからなんですかね……」

 今の話を聞いてなんとなく既視感を覚えたので、ぽつりと呟いた。

 皆を抑圧し、誰も逆らえない権力を持ったその先輩とお義父様を重ねて、鬱憤をぶつけたのではないか。そう考えていると、城戸さんは「だと思う」と肯定し、望さんも複雑そうな顔で頷いた。

「押さえつけられた反動だったんだろうな。相手を縛るのも縛られるのも嫌いだから、恋愛も〝来る者拒まず、去る者追わず〟のスタンスだったよ。暁月自身が裏切ることはしなかったけど、彼女が浮気してもまったく気にしてなかったし、誰にも本気にならないんだろうって言われてた」