天才パイロットは交際0日の新妻に狡猾な溺愛を刻む

「拓ちゃんと同じ、幼馴染ですよ。家が近所だったんです。私は今二十八歳なのでふたりは六歳も上なんですけど、よく一緒に遊んでくれて頼りになるお兄ちゃんみたいな存在でした」
「それだけか?」
「それだけですよ。残念ながら」

 疑う添田さんに笑って答えた彼女だが、その表情はどこか寂しげに見えて気になった。

 最後の『残念ながら』は、添田さんの希望に添えなくてという意味なのか、それとも……彼女自身が幼馴染以上の関係を望んでいたから? 深読みしすぎだろうか。

 推察しつつピンチョスをつまんでチーズをぱく、と口に入れた時、ふいに城戸さんが含みのある瞳で私を一瞥する。

「あいつ、まだ望に紹介してないでしょ。莉真ちゃんのこと」
「え?」
「この子、暁月の奥さん」

 キョトンとする望さんに、彼は手で私を示してそう言った。私も彼女も息を呑む。

 き、城戸さん、藪から棒に……! いずれわかるし、打ち明けないのも変だからいいのだけど、めちゃくちゃ気まずい。

 彼女は結婚したこと自体知っているんだろうかと内心どぎまぎするも、「はい、実は」と頷いて精一杯自然な笑みを作った。