天才パイロットは交際0日の新妻に狡猾な溺愛を刻む

「松本でのそういう経験があるから、城戸さんの管制は丁寧なんでしょうね。ただすべてを伝えるんじゃなくて、パイロットが欲しい情報を厳選してベストなタイミングで与えているのは尊敬します」

 今でも感じていることが、自然に口から出ていた。城戸さんは驚いたように目を丸くして私を見た後、ちょっぴり照れたような笑みをこぼす。

「そんなにたいしたことはしてないと思うけど」
「少なくとも、私にとってはそうなんです。城戸さんが管制しているのを最初に見た時から、あなたが私の目標になっていたんですから」

 恋していた頃を思い出してしまうからとずっと秘めていた気持ちを、なぜか今はすんなりと口にすることができた。これはたぶん、お酒のせいではない。

 真剣な面持ちで私を見つめる彼と目を合わせても、もう胸が痛まなくなっているのに気づく。……私、やっと吹っ切れた?

 心穏やかに彼に笑みを向けると、添田さんが不思議そうな顔をしてテーブルに身を乗り出す。

「ん? 城戸が松本でやってた頃から知り合いだったのか?」

 そういえば、その時からの付き合いだとは言っていなかったっけ。城戸さんは表情をほころばせて頷く。