天才パイロットは交際0日の新妻に狡猾な溺愛を刻む


 指輪のオーダーを終えると、夕飯は家で作ることにしてスーパーに寄った。食材を買ってマイバッグに詰めているところで、伝え忘れていたことを思い出す。

「明後日の夜、職場の皆と食事してきてもいいですか? 歓迎会と一緒に結婚祝いもしてくれるみたいで」

 明後日は暁月さんが地上勤務の日。いつもなら夕飯を作るが、この日は職場から直でお店に向かうので用意できなさそうだ。

 空いたカゴを定位置に戻そうとしていた彼は、ぴくりと反応して問いかける。

「職場の皆ってことは、拓朗もいる?」
「あ、はい……。でも、ふたりきりにはならないので心配しないでください」

 私が所属する飛行場援助業務室のメンバーは城戸さんしかいないけれど、添田さんも来てくれるので大丈夫だろう。あんなに大きな事務所の中にいても、食事できるほどの仲になる人は案外少ない。

 暁月さんは納得したように頷き、「わかった。楽しんでおいで」と声をかけてくれた。

 しかし、彼はどことなく浮かない表情で、私から目を逸らすように視線をバッグのほうに向ける。

「これからも、誰となにをするかは君の自由だ。俺も必要以上に詮索はしない」