天才パイロットは交際0日の新妻に狡猾な溺愛を刻む

 結婚記念日となったこの日は、暁月さんは気を遣ってソファで寝てくれた。リビングにある三人掛けのそれは寝転がっても余裕があり、座り心地もいいのでベッド代わりにもできるが、やっぱり申し訳ない。

 次に寝る時は一緒にベッドを使おう。もう夫婦になったんだから、なにもおかしくない。むしろそうするべきなんだ、うん。

 彼の部屋の広いベッドに横たわり自分に言い聞かせているうちに、緊張よりも疲れが勝っていつの間にか眠りについていた。

 そして翌朝、早くからフライトに向かう彼に合わせて早起きし、軽い朝食を用意した。寝起きの少々ぼんやりした可愛い姿から、仕事モードのきりっとした姿に変わった旦那様を初めて見送る。

「大阪と北海道にステイするから、戻ってくるのは明後日の夜になる」
「わかりました。東北地方に雷雨と乱気流の予想が出ていたので、お気をつけて」
「ありがとう。なんか、もう仕事が始まってるみたいだな」
「あ、すみません」

 職業柄、航空気象を調べるのが癖になっているので、つい業務的になってしまった。新妻らしからぬ、可愛くないお見送りに……。