婚姻届が無事受理されたその日、必要最低限の荷物を持って暁月さんのマンションにお邪魔した。いや、もう一緒に住むのだからお邪魔したというのはおかしいか。
麻布にある二十九階建てのタワーマンションにはコンシェルジュが常駐していて、落ち着いた内観も高級感たっぷり。航空関係者が数人住んでおり、暁月さんもパイロットの先輩から紹介してもらったらしい。
二十四階にある彼の部屋は2LDKで、ふたりで住んでも十分なゆとりがあるくらいどの部屋も広い。リビングの開放感ある大きな窓からは、レトロな東京タワーの灯りが見えてとても綺麗だ。
インテリアも白とグレーでコーディネートされていて、まるで海外映画に出てきそうなセンスのある空間になっている。男性の部屋に入るのもほぼ初めてなので、なんだか感動してしまった。
そういえば、城戸さんの家に入れてもらった記憶はない。当時は、意外とすぐ部屋に連れ込んだりしない人なんだなと好感を持っていたけれど、結婚していたからだと思えば納得する。……なんて、ふと思ったのは秘密だ。
私の部屋の荷物はだいたいまとめてあるので、残りは後日業者に頼む。社員寮の契約期間は特に決められていないため、入居から一カ月弱という異様な早さで出ることになってしまうが、とりあえず問題はない。



