天才パイロットは交際0日の新妻に狡猾な溺愛を刻む

 彼はこちらに手を伸ばして私の髪をそっと除け、カーテンの隙間から覗くように見つめてくる。やや獰猛さを秘めた瞳で。

「まあ、ベッドの中でも冷静かつ合理的な思考でいられるなら、愛は必要ないだろうけど」

 セクシーさを増した声でやや挑発的に囁かれ、心拍数は上がる一方。

 経験のない私が、抱かれている最中にそんなに落ち着いていられるわけがない。恋愛感情がないままただ行為をして授かれればいいとも思えないので、すぐさま「必要です!」と返した。

 少々刺々しかった暁月さんはどこか満足げに口角を上げ、運転する姿勢に戻る。

 今の一連の発言は、きっと私に恋愛するのを忘れさせないようにするためなのだろう。おかげで、今までしなかった妄想が繰り広げられるようになってしまった……。

 まだドキドキしている胸を押さえる私に、彼が気を取り直すように言う。

「じゃあ、さっそく婚姻届を出しに行くよ。今夜から俺のマンションにおいで。形からだけど、ちゃんとした夫婦になろう」

 いよいよ本格的に夫婦生活が始まる。私も改めて〝相良〟になる覚悟を決め、「はい」としっかり頷いた。