「それも……そうだな」


 俺がコハルの連絡先を教えている最中、マサヤは右手でスマホを操作しながら、左手で口元を押さえた。


 けれどニヤついているのを、隠しきれていなかった。


 っ! 本気かよ!?


 おいおい、それはマズんじゃないか?


 不機嫌になったのはそういうことかよ……


 このときになってようやくシュンペイの顔が浮かんだ。


 続いてコハルの顔も浮かんできた。


 俺をマサヤと間違えたことを知って慌てた顔……


 恥ずかしそうに一生懸命言い訳する顔……


 オープンに誘ったときに弾けた笑顔…………


 続いて、コハルを初めて見かけたときのことを思い出す。


 シュンペイと並んで歩いていた。


 放課後デートがよっぽど嬉しかったのか、ぴょんぴょん跳ねるように歩いていたっけ。


 そして隣のシュンペイを見上げて楽しそうに笑いかけていた……


 あの日のコハルを思い出しているうちに、俺の体は真っ暗な空洞になっていくようだった。