「ほら、この通り」


 スマホ画面を掲げると、マサヤは顔を近づけ、それを凝視した。眉根を寄せている。


 しまった、マサヤのプライドを傷つけたか? マズったな。


 そもそも、俺はマサヤほど他のやつらのことなんて心配していない。


 だって考えてもみろよ。月ヶ丘程度に泣かされるほうにも原因があるだろ。


 まだ高校生のうちに勉強できたと思えばいいじゃん?


 しかしそんな程度にしか考えていないことを、マサヤには話したことはない。


 兄貴の言うことには頷くのみだ。それが家庭円満のコツ。


 マサヤはシュンペイのことを、新入生の中でも特に可愛がっているようだった。


 ああいう礼儀正しい好青年はいかにもマサヤが気に入りそうなタイプだ。


 だからコハルのことはマサヤに任せておけばいい、と思っていた。