最後のポスターを貼り終えたとき、新堂兄はにこやかに言った。


「お礼に冷たい物でもおごるよ」


 私は反射的に声を出した。


「いいです、そんなの!」


 だって新堂兄はバイトでポスター貼りをしていたわけじゃない。これは生徒会活動、つまりはボランティアのはずだ。


 ユズハも同じ考えみたいだった。


「そうですよ。そんなの、かえって申し訳ないです」


 しかし、同じなのはそこまでだった。


「でも、新堂さんも喉渇きましたよね? 私たち、元々シェイクを買いに行くつもりだったんです。もしよかったらこれから一緒に行きませんか? 奢りとかはなしで」


 そこで新堂兄を誘っちゃうんだ!?


 でも考えてみると、いくら駅周辺のみとはいえ、蒸し暑い中を歩いてポスターを貼って周るのは大変だった。


 新堂兄にも休憩は必要だろう。水分補給は大事だ、うん。ユズハの声かけは適切だった。


 それと、シュンペイが通う銀星台の話を聞けるチャンスでもある。


 ユズハ、ありがとう!