僕らの部屋は元々ひとつだった。


 それを中学に上がったタイミングで、つっぱりポールとカーテンで仕切って分けた。


 だからそれぞれの部屋にいたままでも、容易に会話できる。


 さらにカーテンを開けてしまえば、対面することだって可能だ。


 ちなみにちょうど今もそうしている。


 自分と同じ造形といっても、お互いの顔を見て話すことに十分意味はあると思っているからだ。


「へえー。それで? 連絡先の交換はできた?」


 弟のトモヤは、僕からの報告のオチをせっついてきた。


「交換はしてない。でもSNSのユーザーネームは渡して来た」

「サブのほう?」

「当たり前だろ?」


 こういうときに使うためのサブアカだ。


 これであのコハルと呼ばれていた女がその気になれば、いつでも僕に友達申請をすることが可能だ。