「いい笑顔。何なに? そんなに楽しかったんだ?」
「ふふっ、バッチリいいプレゼントが買えたんだ」
「何にしたの?」
「ブックマーク付のブックカバー!」
「シュンペイがアドバイスしてくれて?」
「うん、そう。うちのお父さん、いつも通勤電車で読書してるんだけど、シュンペイも読書が趣味じゃない? だから、『もし俺がプレゼントされたら嬉しい、喜んで使ってもらえるんじゃないか』って」
「いい買い物ができてよかったね」
私たちは正門を通り抜けた。
途端に校内の喧騒とは切り離された世界に出た。
「ところでなんだけど、」
突然ユズハの表情と声のトーンが変わった。不安そうなそれに。
「ど、どうしたのっ?」
私をユズハの顔を覗き込むようにして尋ねた。
「今日一日、コハルとシュンペイのこと、色んな子から質問攻めに遭ったんだ」