「…」

「わかってるよ。まだまだ頑張りが足りないって思ってるんだろう?そんなことないから。海香子ちゃんは充分に頑張ったよ。それこそ、心が壊れてしまうまで。しばらく、ゆっくりしたほうがいい」

私は、東京で躓いてからずっと、心がカラカラに渇ききって、悲しくても泣くことすら出来なくなっていた。

それなのに、何故だろう。

頬を伝うしょっぱい何かは、海水ではない。

「ご、ごめんなさい…!泣いたりしたら、困らせちゃいますよね」

「いいんだよ。泣きたい時は泣けばいい」

自分でも、この涙は制御不能だ。

どうしたのだろう?私…。