星みたいな恋をしよう〜二人を繋ぐリボン〜




空港を出てすぐ、絆は空気を吸い込む。湿気の多い日本の空気はイギリスやアメリカのものとはやっぱり違う。そして、どこか懐かしさを覚えるものだ。

「日本に来るのは学生時代以来だし、九州の方には来たことがなかったからわくわくするよ!」

絆の隣でオスカルが目を輝かせる。どこか子どものようにはしゃぎながらあちこち写真を撮るオスカルに、絆は釘を刺す。

「日本では公共の場でハグをしたり、寄付をしたりしないでくださいね。約束です」

「ええ〜……。ハグもダメなの?」

シュン、と落ち込んだ様子を見せるオスカルに心が揺れたものの、アメリカの道端でされたような深いキスを日本でする勇気は絆にはない。

「ダメです!」

絆はそうピシャリと言い放ち、予約したホテルに先に荷物を置きに行くために歩き出す。そんな絆の手を、オスカルは優しく掴んだ。

「キスやハグはダメでも、手を繋ぐのはいいでしょ?」

左手をオスカルは取り、華奢な絆の手をジッと見る。その薬指には、あの日オスカルに貰ったダイヤモンドの指輪があった。