「……貴方、誰なん?」

「面白いよね、転生しても相変わらずカンサイの言葉を話すんだ?
 いや、元々グレンジャーはカンサイベンキャラクターだったね。
 だから彼を選んだのかな、オーハシさんは」



 これは夢なんだ、と。
 夢の最中に、そう思っていたグレンジャーは、少年から『オーハシさん』と呼び掛けられて……
 

 いきなり目の前に、いくつもの場面が現れた。
 それは超高速で切り替わっていき、ひとつひとつじっくり見えたわけでもないのに。
 それにも関わらず、ひとつひとつが何だったのか、思い出せた。



 座っていたのは最後尾の座席。
 急ブレーキの音、後方から大きなダンプに追突された。
 最後は、横転して、身体がバウンドして。
 車内の何にぶつかったのか、誰と重なったのか。
 物凄く背中が痛くて、周囲に煙が充満していて、ガソリン臭が酷かった。

 痛い、痛い、めちゃいたい……息もうまく出来へん。
 こんなん、参加せ、へんかったら、よかった……
 助けを呼ぶ声さえ出せず……涙だけが流れた。



 
 一番最初に神様の所へ来た、わたしは。

 あの地獄から、一番最初に死ねたのかな。