今頃、声をかけてきたカールがどういうつもりなのか、が読めなかった。



 グレンジャーは唇を噛んだ。
 オスカーは俺を巻き込ませたくない、と事情を話さないけど。
 あんなに苦しそうにしているのに、このまま知らん顔はしてやらない。


 今夜、あの狸親父がウチに戻ってきたら……
 オスカーとの関係やら、魔法をかけた理由やら、洗いざらいをグレンジャーは聞き出そうと思った。

 そして明日の夜、髪色を変えて祭りへ出掛けるオスカーの後をつける。



 夕食後、渋る親父殿からオスカーが甥だと聞いた。
 妹のケリー・アンが彼の母なのだと。
 しかし、父親の名前は、頑なに教えてくれなかった。 
 
 実父も、俺も育てられなくて。
 妹の親友だったコルテス侯爵夫人に頼ってしまった、と。

 王都で育てるには問題があって
(この問題については話してくれない)
 マーカス領主のウェイン家がオブライエン家の遠縁だったから、先ずはそこで育てて貰い、その後侯爵家が引き取ることに同意した、と言う。


 学苑の中等部で親しくなった、とグレンジャーがオスカーを招いた時は、胸が詰まり手元も震えたらしい。
 オスカーの容姿は全体的に父親似だが、確かに妹の面影もあって。