人が変わってしまったかのような、尊大な雰囲気の彼女に。
 ちょっと憮然としたグレンジャーの、左隣に座っていたローマンが大きくため息を吐いた。



「ここはマンガの世界なの。
 貴方達はそのマンガの登場人物で、ヒロインの逆ハーレム要員っていう役割なの。
 私はそのヒロインに転生したのよ。
 ストーリー上、これから王太子と知り合って恋人になるから、もう貴方達とは過ごせないの。
 ……ごめんね?」


『マジか、言ったよ』『おまいう、言ってもいい?』

 こしょこしょと。
 アランとマークが小さな声で、密かに笑っていて。

 
 ミシェルの言ってることも、こいつらの言ってることも。
 何を言ってるんだか。

 
 ただ、おまいう、って。
 この辺りじゃ誰も使わないのに。
 聞き覚え、ではなくて。
 昔、何かで見掛けたような……
 明るく光る小さな画面を指で触って……
 結構な早さで操作していた……
 
 
 普段耳にすることのない……話し言葉じゃないのに。
 

 うっすらと、その意味が分かるのは何でや?