そんなグレンジャーの思惑も知らず……
 何故か、ミシェルはグレンジャーが気に入ったようで、あれから何度も魔法科棟へやって来た。


 ここへ来る普通科の女子生徒は少なくて、躊躇い無しにグレンジャーの教室を訪れるミシェルは、すっかり有名人だ。
 数少ない魔法科女子も、彼女が来るとピリピリするのか、不穏な波動が伝わってくる。

 
 そのせいでミシェルが顔を出すと、グレンジャーが慌てて彼女の手を引いて出ていくので、それでまたクラスの女子はイラつく。
 


 知り合った日から1週間に1回はやって来るミシェルに、とうとうグレンジャーは聞いた。


「何でこんなに何度も来る?」

「だってグレンジャーの方からは会いに来てくれないじゃない?
 わたしはもっと、貴方に会いたいの」


 何で? と思う。
 特に楽しい会話なんかしてない。
 今だってミシェルが来るまでは、実習で組んでいるフィリッパ・ギャレットと、魔法植物の成長過程について話し合いをしていたのに。
 ミシェルが来たから、彼女はグレンジャーを置いて先に温室へ行ってしまった。