オスカーは「俺が俺が」タイプじゃないが、人望があり、その紫の瞳も相まって、ランドールよりも王族みたいだ、と皆は口にしていた。



 それにしても高位貴族って奴は、とグレンジャーは思う。
 早い頃から結婚相手が決まってて……
 それ、ってどうなん?
 他に好きな相手かて、出来るやろ?
 そん時は、どうするん?
 


「オスカーもさ、婚約してるの?
 まだ11の義妹に居るんなら、当然居るよな?」

「ウェズリーとロージーは幼馴染みだから。
 俺は去年、養子に入ったから……まだ居ないし。
 欲しくもないな」


 オスカーに婚約者の存在を尋ねてみた。
 彼が自分と同じく、コルテス侯爵家の養子だと言うことは有名だった。
 ただし、平民の孤児だったグレンジャーとは違い、遠縁の地方貴族の三男だと教えてくれたのは、カールだ。

 それでも、やはり親近感は持つ。
 オスカーだって、そうだと思う。
 だから、アランより先に俺に声を掛けてきたんだろ?

  ◇◇◇


 グレンジャーはその日の放課後、オスカーとカールと一緒に城下へ出た。
 一般授業で必要な文房具を購入するためだ。