「ライデルも、一緒に行こう。
 全員で、中庭で食べよう」


 全員で、かよ……
 ホッとしたような、残念なような、何とも複雑な感情がグレンジャーに沸き上がってきた。



「そうだ、おい、マーゴット!
 お前等も来いよ、ウチのクラス全員で中庭占拠してやろう!」


 オスカーはそんなグレンジャーの感情にも気付かずに。
 今度は騎士科に進むグループの中心人物に声を掛けた。


 アラン・マーゴットは王立騎士団団長の次男だ。
 こちらの様子を、離れたところから伺っていたアランも、おぉ、と返事を返した。



 そんな男子生徒達のやり取りを見ていた女子生徒も、入りたいと言い出して。
 なんと、その日はクラス全員で、中庭に出ることになった。


 それをきっかけにして彼等はクラス全員で週一回、中庭で昼休みを過ごすことになり、学苑中等部史上一番団結力の強いクラスと呼ばれることになった。


 前世の記憶をまだ、取り戻せていないグレンジャーは気が付いていなかった。


 この時、オスカーが声をかけた自分と、アラン・マーゴットは『乙花』のヒロイン、ミシェル・フライの逆ハーレム要員で。
 すなわち攻略対象者だったから、オスカーが声をかけた、ということを。