「・・・・・・。加瀬のとこ行くの」

「・・・うん」

「だめ」

「え?」

「だめ。加瀬のとこには行かせない。他のやつに見せたくない」

「何言って・・・っ、いいから、早く離して」


バクバクと心臓がうるさい。


どうしてそんなこと言うの。


痛くはないけどぎゅっと握られた左腕、そして見つめる真剣な瞳。


自分の顔が赤くなってるのがわかる。


いったい私にどうしろと・・・



「琳凰くんっ」


その声にハッとして、瞬時に氷上の手を振り解いた。


「高沢さん、こんにちは」


ウエストに大きなリボンの付いたロイヤルブルーのドレスを身に纏った藤堂さんがゆっくりとこちらに近づきながら優しく微笑んだ。


「こんにちは・・・」


ドクドクと心臓が鳴っているのがわかる。


きっと見えていたよね・・・