「ねぇ、見て。あれが美味しいんですってよ」
「ふふふ、味覚は大丈夫かしら?」
「シッ。名札見て、特Sクラスよ」
隣のテーブルからそんなヒソヒソ話が聞こえてきた。
もうこういうのもVIP科の子たちが近くに来ると当たり前のことなのだ。
食べ物で判断される前に私たち普通科はネクタイの色がワインレッドではなく、中のベストとスカートと同じグレー。
一目で普通科の生徒なんだとわかる。
でも、特Sクラスの生徒だけは特別に名札の色がゴールドなのだ。
だからヒソヒソ言われることはあっても、面と向かって何かを言われることはない。
それが良いかって聞かれるとそんなことはないんだけどね。
でもいちいち気にしていると、この学園では生きていけないということを1年生の時に学んだ。
だから、目の前の目標と勉強に集中するのみ!


