「・・・さん、高沢さん、大丈夫?」


名前を呼ばれて目を開けると、黒髪ボブの白衣を着た保健の先生が心配そうに顔を覗き込んでいた。


「あ・・・・・・はい・・・」


氷上くんはいなくなっていた。


・・・・・・どのくらい寝たのかな。


まだ頭は重たいし、身体は怠い。


「まだ辛そうね。先生お家の人に連絡してくるから、ちょっと水分とって休んでて。これ、氷上くんが持って来てくれたのよ」


私がゆっくり体を起こすと、先生は水のペットボトルを開けて渡してくれた。


「ありがとう、ございます」


少し時間が経っているのか、ペットボトルの表面が結露している。


それでも熱があるせいか、口に含むとひんやりと冷たく感じて、私はそれをゴクゴクと喉に流し込んだ。


カラカラだった喉が一気に潤った気がする。


「よかった、水分取れて。あとで氷上くんにお礼言っといてね」


先生はそう言って保健室を出て行った。


私は座ったまま、しばらくぼーっと手に持ったペットボトルを眺めていた。