「いや、病院側の都合らしい。経営がどうとかで人員削減とか言われたけど・・・そんな急に言うもんかな?まぁ・・・働くとこはいっぱいあるからすぐ探せばいいけどさ」

「お父さんも・・・?実はお母さんも今日、夜勤明けで同じこと言われたのよ」


二人の会話にドクっドクっと心臓が嫌な音をたて始める。


「まぁ、お父さんの言うとおり働くとこなんていっぱいあるからいいけどさ」


こんなこともあるのね〜なんて呑気に笑い合っているふたりの声が遠くに感じてきた。


「ちょっと、トイレ行ってくる」


そう言って席を立つ。


リビングを出ると急いで自分の部屋に駆け込み、バッグのポケットに溜め込まれた手紙の中から今朝のものを探した。


何度も見たくない内容ばかり。


捨てればいいものを何故か捨てられず、バッグのポケットに溜めていた。


そして見つけた今日の手紙。



『早く氷上様と別れろ。
家族がどうなっても知らないからな』



その紙を持ったまま膝から崩れ落ちた。