ゾクッ
まただ。振り返っても目が合う人はいない。
「苺花、どうかした?」
「ううん、なんでもない。大丈夫」
琳凰くんにものんちゃんたちにも心配かけたくなくて手紙のことは言っていない。
「・・・。苺花、食べ終わったら行こうか」
琳凰くんとは最近の恒例で、お昼を食べ終わるとふたりで薔薇園のベンチで過ごしている。
7月も半ばに入るところで、だいぶ外は暑くなってきたけど薔薇園のベンチは影になっていて近くではミストも出ているから外でもそんなに暑さを感じずに過ごせる。
私たちはベンチに腰掛けた。
「苺花、最近なんかあった?」
先に口を開いたのは琳凰くんだった。
「え?なにも、ないよ?」
「最近元気ないよね?」
「そ、そう?あー・・・でもちょっと夏バテ気味なのかもしれない・・・はは」
琳凰くんの真っ直ぐで綺麗な瞳を直視すると嘘だとバレそうで視線を逸らした。


