まだ、慣れません。

正直に言って、永久に慣れる気がしません。


小宵(こよい)。」

「……っ」


月の光を映したような、眩い銀色の絹のような髪。瞳は紅に輝くルビーのよう。

この麗しい瞳で見つめられたら、金縛りにあったみたいに固まってしまいます。

未だに信じられません。
この人間離れした美しさを持つ彼が、私の彼氏だなんて。

まだ夢でも見ているのかな?と思ってしまいます。

人間離れ……いえ、彼は本当に人間ではありません。


「小宵、今日もちょうだい?」

「は、はい……っ」


震える手で制服のボタンを外し、首元を曝け出します。


「……ああ、今日もすごくいい香り。
いただきます♪」

「っ!」


首筋に感じるチクッとした痛み。

すぐに麻痺したみたいに痺れて、吸われる度にドキドキしてしまいます――。

この甘い刺激にも永遠に慣れそうにありません。


「ごちそうさま」


ペロリと舌を出して微笑む表情はとっても綺麗で、でもどこか雄々しさもあり――つまりは最上級にカッコ良すぎるのです。


彼の名前は暁月(あかつき)リユくん。


恐れ多いことに私、蜜月(みつき)小宵(こよい)の恋人であり、極上に麗しいヴァンパイアなのです。