「いえ、大丈夫ですよ」

僕が微笑むと、村長さんは「あ、そうだ」と忘れていた何かを思い出したかのように顔を上げた。

「ティム・ラファールくん、だっけ?」

そう言って、村長さんはティムをじっと見つめる。突然名前を呼ばれたことに、ティムは戸惑った表情を浮かべながら首を傾げた。

「……実は、私はあなたのお父さんの親友なんです。時間がある時でいい。あなたのお父さんと会いなさい。ティムくんにとって、良い物が手に入るはずです」

「……良い物、ですか……?」

ティムの言葉に、村長さんは「はい」と頷く。

……ティムにとって良い物、か……治療師専用の武器か何かなのかな……。

そんなことを思いながら、僕らは色々と村長さんとやり取りをしてから村を出てカラミティに向かった。