「……」

ふと目が覚めて、僕はまだ覚醒し切ってない頭のまま体を起こす。

視界に入った景色を見て、一気に頭が冴えた僕は首を傾げた。視界に入ったのは、もう10年以上も見てない前世の僕の部屋だったから。

……ここって……前世の僕の部屋、だよな?何で、こんなところにいるんだ?もしかして、今までの、異世界で過ごしてたのは夢……なのか?

「違う。夢なんかじゃない……でも、今のこれも夢じゃなさそうなんだよな……」

誰もいない部屋に、僕の声が響く。色々と考えてると、扉がノックされる音がした。

「光、そろそろ起きないと。今日は、朝から旭くんと和夢くんと遊ぶんでしょ?朝ご飯、用意出来たから食べに来て」

ドア越しに、僕の前世の母親の声が聞こえる。色々と違和感を覚えながらも、僕は「分かった。もう少ししたら、行くよ」と返した。

……光って、僕の前世の名前……だよね?それに、旭と和夢って……前世の……。

「……何がどうなってるんだ?そもそも、八咫烏が言ってた試練は何だ?…………考えてても、仕方ないか……」

そう呟いて、とりあえず部屋を出る。前世の記憶を頼りに、僕は、僕が前世で住んでた家のリビングへと向かった。

……前世で暮らしてた家なのに、何だか他人の家にいるみたいだ……。