「これは……『解呪の笛』って言うんだけど、一時的に呪いを解く効果のある笛らしいんだ」

「解呪の笛……何だか、ティムらしいなぁ」

前世で良くフルートを吹いてくれたティムの姿を思い出しながら、僕は呟く。

「そうだな。ティムの演奏、すごく好きだったな」

アーサーの言葉に、僕は「僕も好きだったなぁ」と頷いた。それを聞いたティムは「ありがとう」と嬉しそうに笑う。

「……それにしても、解呪の笛かぁ……一時的ってことは、完全に呪いを解けるわけじゃないってこと?」

このままだと、前世での話で盛り上がりそうだったから僕は話題を変えた。

「うん。僕が笛を吹いている間だけ、解呪出来るらしいんだ。しかも、吹いている間は少しずつだけど魔力を消費するらしい」

「だから、僕とアーサーがモンスターと戦ってる間もずっと吹いたままだったんだ」

モンスターと戦ってる最中も、ずっと耳に綺麗な笛の音が入ってきてたことを思い出して、僕はティムに向かって言う。

「それと、前の任務で訪れた村の村長さんが言っていた、僕にとって良いものってこの笛のことだったんだ。お父さんが、そう言っていた」

ティムは、笛に目を移しながら言った。その時、「皆!」という声がする。

声がした方を見ると、そこにはアーサーとティムの両親とアレンさんがいた。