ざわっと他の管理人たちがざわつく。

 そんな中、わたしは状況を理解できないでいた。

 えっと、キヨコの帽子って、
 あのいつもかぶってる、赤いステキな帽子だよね?
 
 確かに盗まれたのは気の毒だとは思うけど……。

 こんなに、会議まで開いて知らせることなのかな?

 ハテナ顔のわたしに気づいたのか、マオが説明しだした。



「エート、キヨコがマーメイドだってことは知っているな。
あいつは、マーメイドの中でも、『メロウ』という珍しい種族なんだ。
メロウは産まれた時から赤い帽子をかぶっている。
それは、メロウであるという証。
もしも帽子をだれかにとられたら、もう水には帰れなくなる」



 水に帰れなくなる……。

 えっと、泳げなくなるってこと? 
 
 そうすると、水の中にある自分の家に帰れなくなっちゃうよね。

 あと、困ることはなんだろう……?