ああ、やっと来てくれた!

 うれしくて振り返り、わたしは固まった。

 でっぷりとしたお腹。

 同じく二重あごの油ギッシュな顔は、汗みどろ。

 コフーコフーと息があらい。

 お肉をむりやりつめこんだ白いタキシードは、いまにもはちきれそうだ。

 どう見ても、ふくよかな――ストレートに言えば、おデブな少年がいた。



「ま、おれにギリギリふさわしい嫁かな。じゃ、誓いのキスを……」



 ちち、ちょっと、待って。



「嫌、ち、近づかないで!」



 わたしは必死におデブくんを押しのけるけど、力には勝てない。

 おデブくんは口をう~っとすぼめてこっちに向かってきた。



「嫌だってば~~~!!」



***

 コンコンコン。



「エート? 夕飯は嫌なのか?」

 はっ!?

 ノックと、マオの声。



「ごめん、寝ぼけてた! 今行きまーす!」