わたしの声を聞いた他の管理人たちも、
 それぞれの部屋から出てきた。



「エートちゃん!」

「エートが帰ってきたぞー!」

「おかえりー、エート!」



 みんなにもみくちゃにされながら、わたしはマオに向かって報告。



「マオ。
エート、提示されていた条件の通り、ただ今戻りました!」



 みんなが、条件? と首をかしげる。

 そう、実は、管理人をやめるって話をしにいった時に、
 マオはわたしの耳元で、こんな条件をささやいたのだ。



『このダンジョン・マンションの管理人を、
完全に嫌になるか、完全に満足しきるか。
そのどちらかの時に限り、管理人をやめることを許可する』



 わたしは当然、嫌になんてなってない。

 それに、満足しきってもいないんだ。

 だって、まだまだヴァンについてまわる、
 ひよっこの管理人だもん。