「おまえみたいなやつに、エートをまかせられるか! 
いいか! 会場にいるやつらも、よく聞け! 
エートを嫁にほしかったら……、
このおれを倒してみせろ!」



 ヴァンは会場をぐるりと見わたしてそう宣言した。

 うれしくって、胸がぎゅーっとなる。

 だって、ヴァンは、めちゃくちゃ強い。

 ってことは、わたし、嫁にいかなくてもいいじゃん!

 てか、わたしが……、
 ヴァンの、お、お嫁さんに、なればいいってことじゃん!

 そう言ったも同然でしょ!

 やばい、へらっとした顔がなおらない。

 にまにまとしていると、
 ヴァンに「何ニヤついてんだ。試練の結果はどうなったんだ」と、
 頭を軽くこづかれた。

 そ、そうか。



「審判さん!」



 きょろきょろと見回す。

 あ、いた。

 ああ、審判てば、今までリング外に避難してたのね……。

 やっと、職務を果たそうと、審判はリングの上に上がってきた。