えええ! 

 確かに、文字には
「おれを呼べ。わが名はお試しダンジョンの主、
魔王サーペントス。おまえの友だ」
とあったけど!

 サーペントスって、どなた!?

 お試しダンジョンの主って、どういうことなの!?

 アンダーソンは口をあんぐりと開けていたが、
 はっと意識を取り戻し、ケルベロスに命令した。



「な、何が魔王だ。
しょせんお試しダンジョンのものだろう? 
ケルベロスよ、あいつを倒せ!」



 だが、ケルベロスは動かない。

 がくがくと体を震わせ、おびえ、ふせの体勢に入っている。



「おい! どうしたんだ!」



 なおも動かないケルベロスに向かい、
 アンダーソンはちっと舌打ちをする。



「アイテムを使わせてもらうぞ!」



 そう言って、
 アンダーソンは身につけていた袋から
 何かのかたまりを取り出し、
 ケルベロスに向かって投げた。