消え入りそうな小さな声で、ヴァンは言った。
「普段は、コントロールできてるんだ。
血を見ても、正気をたもてるくらい。
でも、さっきおまえの血を見た時……、衝動を、おさえきれなくなった。
『うまそう』って思っちまった」
「気持ち悪ぃだろ」とヴァンは投げやりに言うと、黙ってしまった。
どう、言葉をかければいいんだろう。ヘタななぐさめは逆効果だ。
えーと、えーと、どうしよう。沈黙が怖いよ!
ここで、ヴァンの心が閉ざされるなんて絶対嫌だ!
えーと、えーと……!
「大丈夫、気持ちよかったから!」
「……は?」
がばっと、ヴァンが顔を上げた。
ぎゃー! よりにもよって、なんてことを言うの、わたし!
でも、口に出した言葉はもう戻らない。
このまま、押し進めるしかないっ!



