魅了魔法にかかると、相手に夢中になり、
相手の言うことをなんでも聞きたくなるんだ。
「最低だ、おれ。自分の本性をコントロールできなかった」
ヴァンの声は震えていた。
わたしは、つばをごくりとのみこみ、一番聞きたかったことを聞いてみる。
「ヴァンは……、魔王、なの?」
「……、ああ。できそこないのな」
長い沈黙の後、ため息と一緒にマオはこたえた。
できそこない?
わたしの疑問にこたえるように、マオは話し続ける。
「おれ、ヴァンパイアと人間のハーフなんだ」
ヴァンパイア……、聞いたことがある。
人間にソックリだけど、人の血を食料としてるモンスターだ。
日光にあたると灰になってしまうらしい。
でも、それ以外はほぼ弱点はなく、おそろしいほど強いんだとか。
……モンスターと人間の混血は、忌み嫌われている。



