ここで引き下がってしまうと、
もう、ヴァンはわたしに心を開いてくれない気がする。
そう、強く思った。
だから、わたしは……!
「エートの名において、願う。
友よ、エルノックよ、あらわれたまえ!」
床に小さな魔法陣が光り、そこからエルノックが出てくる。
「どうし……」
「エルノック! つるはしでこのドアを壊して!」
「ほ?」
「早く!」
「あ、あいわかった!」
エルノックはつるはしを振りかぶり、ドガッとドアに一撃。
ちょうど鍵の部分にあたったのか、穴が開いたドアが、がちゃりと開いた。
「ありがと! エートの名において、友の助力に感謝する!」
「え、もうわしの出番おわ……」
言いきらないうちに、エルノックがダンジョンにもどっていく。
あとで謝んなきゃね。
今は、とりあえず……!
「ヴァン、入るからね!」



