今夜は管理人のお仕事はお休み。

 ってことで、わたしはマオにリンゴの皮むきを教えてもらっている。

 へへ、料理するの、ずっとあこがれてたんだよね。

 でも、包丁ってこわい……。

 思い切って、実に刃を入れられないよ。
 
 そのまま、スパーンッと自分の手を切っちゃいそう。



「ほら、こうやって……」



 マオは後ろからわたしにおおいかぶさるようにして、手をとって指導してくれる。

 やっぱり、距離感が近いなあ。

 ちょっとドキドキ、ソワソワするよ!

 でも! わたしの心にはヴァンがいるもんね!

 このリンゴがむけたら、ヴァンに食べてもらうんだ。

 なんか、こ、恋人みたいじゃない? なんてね!



「よし、じゃあ、ひとりでやってみろ」



 と、マオがわたしからはなれようとした瞬間。



「む」

「痛っ」