わたしが驚いてるのもかまわずに、
 キヨコはしゃがんでいるわたしに抱きついてきた。



「エートちゃん、わたしを、あなたの召使いにしてくれない? 
恩返しがしたいの!」

「へ!?」



 いやいやいや、召使いとか、そんなのはいいって。

 せっかく帽子をとりもどして、自由になれたのに。



「友だちを助けるのは当然でしょ!」

「でも、このままじゃわたしの気がおさまらないし……」



 うーん、ど、どうしようか……。

 そこで、ふと思った。



「ねえ、キヨコ。
わたしは、あなたのこと友だちだと思ってたんだけど、あなたは違う?」

「ううん。
わたしも、エートちゃんのこと友だちだと思って……」



 そこで、キヨコはぱっと顔に笑みを浮かべた。



「うん、そうよね。
わたし、エートちゃんに召喚してもらえる、お友だちになりたい!」



 そう言って、キヨコはわたしの右手をぎゅっと両手で包みこんだ。