恋花ロマンチカ

そんな雲の上に君臨する存在に…

地面を這い蹲ってる、あたしが…

─────告白。


簡単に、想像だけで、足先から心の芯が震える。


…………告白…………


この短い沈黙の間に何度シュミレーションしてみても、どうやっても結果はエラー。

片桐巧って人を脳裏に映し出すだけで、思考はブラックアウトしてしまう。


「………あ、たしは、無理、かな」


やっと、その申し訳なさから、声を絞り出した。


「だよね、うん。言ってみただけだから気にすんな」


戻ろっか、その言葉を合図にあたし達は席を立った。


すれ違う男女は談笑している。広々とした学食内にも、そこら中に見掛ける。

上辺だけしか分からないけれど、皆んな楽しそうに笑い合っている。


最初は男子と話すのだけでも精一杯だった。

顔を真っ赤にさせて話すものだから、良くからかわれた。


憧れていた、ただ、恋って感情に。

一貫校だった中学から編入希望をして、後ろ盾も無いこの高校に入学して、良い友達に出会えて高望みした。

きっかけは、いつも近くに転がっているのに、目を背けて、知らん顔していたのはあたしだ。

変わりたいって、その心だけで入学したのに。

情けなくて藁にしがみつく事も出来ずにいるあたしは、結局ただの負け犬だ。