恋花ロマンチカ

「あたし、やってみたい!」

そんなの、やるしかないと言われているようなものだ。だから、頷いたのに、

「待って。彼氏は出来るかもしれないけど、そのジンクスをひなが出来るかは、わかんないよ」

やはり、どこかバツが悪そうにセリナは眉をひそめる。

「だってジンクスでしょ?消しゴムに名前を書いて、それを見られる前に使い切ったら叶う〜みたいなのじゃないの?」

「そう、だね。むしろそれよりも手っ取り早い」

「じゃあ、そんなに叶わないって事?」

「いや、それが意外と高確率で彼氏出来るんだって」


そんな手っ取り早くて高確率な彼氏ができるジンクスと来たら、あたしの食い付きだって、更に深くなる。


「何したらいいの?」


そもそも乗りかかった船だし、何も気に留めることなく心のまま唱えた。

やがて、観念したようにセリナは深いため息を吐き出すと、「あのね」その薄い唇が動くと



「………片桐先輩に、フラれるの」



答えを、告げる。