恋花ロマンチカ

「あっ、でもさ。そう言えば噂で聞いたんだけどね」

物思いに耽っていると、セリナの声で現実に舞い戻った。「なぁに?」と、当然のようにあたしは首を傾げる。


「どうしても、彼氏が欲しい?」

「そりゃ、欲しいよ」

「一年女子の間でなんだけどさ」

「うん」

「彼氏ができるって、ジンクス流行ってるらしいよ?」


彼氏ができるってジンクス??


「なにそれ?そんなのあるの?」


それはとてつもなく美味しそうな話題なので、食べかけのパスタよりも食いつく。


「うん。ただうちも、結構前に聞いて」

「えっじゃあ、なんでその時教えてくれなかったの?」

「……それは、最後の手段として使えば良いかなって、」


あたしが頷いた途端に、何故かセリナは歯切れの悪い返事をした。