恋花ロマンチカ

恋愛初心者のあたしにとって、セリナは教祖みたいな存在。

「ひながそのうち彼氏自慢するのを首をながーーくして待ってるよ」

セリナはその小さな顔を手に乗せ、整った顔を綺麗に綻ばせた。

彼女はスラリとした長身でまさにモデル体型。顔も美人であたしとは完全に真逆のタイプ。


「いつになるかわかんないよ」


そんな彼女に、あたしはいつもささやかな抵抗をする。


「卒業までに出来たら良いね」

「卒業!?そんなに無理かな!?」

「今のままじゃ処女のまま卒業まっしぐらだよ、あんた」

「うぅ…明日から…頑張る」

「このやり取りも何度目だろうね」


きっかけは、たまたま出席番号順で席が隣って、そんな理由だけで、セリナはあたしみたいな地味な女にも気さくに話しかけてくれた。

こんな取り留めのない話を聞いて、自分の事のように心配してくれる。

単身で乗り込んだ共学での高校生活を人並みに楽しめるようになったのは、彼女のおかげだったりもする。

友達すら居なかったあたしに友達も出来たし、彼氏だって焦らなくても………